税務調査②

なぜ、宗教法人に税務調査があるのか?

宗教法人が収益事業を行はず、公益事業だけであれば収入に課税はされません。
なのに何故、非課税の宗教法人に税務調査があるのでしょう。
それは、宗教法人が源泉徴収義務者だからです。

宗教法人が個人に給与や報酬を支払っている場合、それに所得税が課せられます。
その課税は、源泉徴収という方法で行われます。

源泉徴収とは、支払う給与や報酬から事前に支払い者が所得税などを差し引いて、支給される人に代わって支払いを行う制度です。

宗教法人も給与や報酬を支払うために、所得税の源泉徴収をする義務があるのです。
その源泉徴収が正しいかどうかを調べに来る。それが税務調査の目的なのです。

税務調査官が事前通告で「源泉徴収の調査です。」としか伝えられなくて簡単な調査だと思ってたら、そうでなく驚いた、といったお話を良く耳にします。

給与は、金銭で支給されるのが普通ですが、食事の現物支給や商品の値引販売などのように経済的利益をもって支給されるものも含まれます。(現物給与)
宗教法人の場合では、「住職や宮司が庫裏や社務所等無償で居住している場合には、その庫裏や社務所等に居住することは、職務の遂行上やむを得ない必要に基づくものと認められますので・・中略・・源泉徴収の対象とはなりません。(宗教法人の税務・国税庁)」
源泉徴収の対象でないということは、現物給与ではないということです。
しかし、そこで消費する水道光熱費や通信費等の一部は現物給与となり課税の対象です。

法人から個人へ、給与、報酬及び現物給与に正いい課税がなされているかを調べるのですから宗教法人の全ての収入、支出を調べなければなりません。

税務調査の着眼点の一つが現物給与です。