【Q&A】住職が自費で購入した自宅。固定資産税は非課税になりますか?

【ご質問】

本堂に付属する庫裡(くり)が事情により使用できなくなり、住職がやむを得ず自費で自宅を購入しました。

ところが、その自宅に固定資産税の納税通知書が届きました。この家は実質的に宗教活動に必要な住居として使っているのですが、固定資産税の課税対象外(預け扱い)にすることはできないのでしょうか?

【お答え】

はい、非課税となる可能性があります。

固定資産税が非課税になるかどうかのポイントは、「誰が所有しているか」ではなく、「その建物が何に使われているか」という点です。


解説

1. 非課税の根拠

地方税法では、「宗教法人が専らその本来の用に供する境内建物及び境内地」については固定資産税を課さない、と定められています。

今回のケースのように、たとえ住職個人の名義で購入したご自宅であっても、それが実質的に庫裡として機能し、宗教活動の一環として使用されていると認められれば、この非課税規定の対象となる可能性があります。

2. 必要な手続き

自動的に非課税になるわけではなく、所轄の市区町村の役場(資産税課など)への申請が必要です。

実際にこのご住職には、「購入した家が、宗教活動に供される住居である旨」を記載した申請書類を役場に提出していただきました。その結果、後日「固定資産税が課税対象外となる旨の通知が届いた」との嬉しいご報告をいただいております。

この事例から学ぶポイント

この事例は、宗教法人の実務において非常に重要です。

  • 固定資産税の判断は「使用目的」が鍵

所有者が法人か個人かではなく、その施設が宗教活動という目的に使われているかが問われます。

  • 個人所有でも非課税の可能性あり

住職個人の名義であっても、実態として宗教活動に使われていれば非課税の対象となり得ます。

  • 実態に即した申請が不可欠

非課税の適用を受けるには、使用状況を明記した書類を添えて、役場へ申請することが必要です。

施設の購入や使用状況の変更があった際には、思わぬ課税を防ぐためにも、まずは一度、所轄の役場へご相談いただくことをお勧めします。