寺院の土地の名義

お寺にあるご住職や寺族の個人名義の土地を、お寺の名義に変更したいと言うご相談がよくあります。
それは、この状態で相続が発生すると、いくつかの問題が発生する危険性があるからだと思います。

1つ目は相続税が課せられる場合があると言うことです。
あくまでも個人の財産であるため、相続財産に組み入れられる場合があるのです。(どのような場合かは、ここでは省きますが)。

2つ目は誰が相続するかで揉めることがあると言うことです。
お寺を継ぐ方が相続するのが当然のようですが、そうはいかない場合があるようです。
民法では、相続は死によって開始すると記載されています。また、相続は均分相続(*1)になっています。
と言う事は、何も対策を練っていない場合には、被相続人(*2)が亡くなると、同時にそれぞれの相続人が同じ相続権を持つことになります。
もし、話し合いがつかなければ、この土地は共有名義になり、何をするにも全員の同意が必要になります。
ただし、持ち分の売却はそれぞれが相談なしにできます。そうすると相続人以外が持ち分所有者になり、トラブルが大きくなると言うことです。

3つ目は、相続がある度に相続人全員の各種書類を揃えて相続登記が必要になると言うことです。
相続人に認知症の方や海外居住の方がいたりすると、厄介です。(令和6年4月1日より、相続を知った日から3年以内に登記をしなければ100万円以下の罰金が科せられるように決まりました)

お寺にあるご住職や寺族の個人名義の土地をそのままにしておくと、起きる問題を列挙してみました。

次回はどんな対策があるのか掲載します。

*1均分相続
遺産を何人かに分けて相続する場合に,その割合が等しくなるようにする相続の形(配偶者は別計算)
*2被相続人
相続財産を遺して死亡した人を意味する用語