無縁墳墓の改葬
長い期間墓地や納骨堂の運営をしていると、お参りのない所が出てきます。ご親族や縁故者が分かれば改葬の手続きをお願いすればよいのですが、連絡先さえも分からない。その様な時に「無縁墳墓の改葬」をなされてはいかがでしょうか。
墓地・埋葬に関する施行規則が一部変更されました。(平成11年10月1日から施行。)
そのうちの一つが無縁墳墓改葬の手続きの簡素化です。
従前の方法は
「相続人の不存在」が確認された後、従来の施行規則(墓地、埋葬等に関する法律施行規則第三条)では無縁墳墓に埋葬された死体又は埋蔵された焼骨の改葬を行うとする者は、墓地使用者の本籍地及び住所地の市町村長に不存在を確認し、いないことが判明した後、二種類以上の日刊紙に三回以上広告し、最終の広告から二ヶ月以内に申し出がなければ、やっと「改葬許可」の申請が行えることになります。
以上、きわめて煩雑な手続きでした。また、新聞広告の費用の点だけでも大変でした。
現在の無縁墳墓の改葬手続きは
この度の一部改正により、「死亡者の縁故者及び無縁墳墓等に関する権利を有する者に対し1年以内に申し出るべき旨の官報広告及び墳墓のある場所における立札設置を行い、その期間内に縁故者等の申し出がなかったことを証する書類を改葬許可申請書の添付書類とすること」になりました。これは、従前に比べ申請者(お寺)の負担を軽減するためのものです。
具体的には
①無縁だろう墳墓*1(お墓や納骨堂)を確定する
②官報*2への掲載公告の原案を作成する(日付は空欄)
③市町村の窓口で原案を確認してもらう。
官報に掲載して改葬の申請までには1年間かかる。もし、申請時に間違いがあれば再度掲載して再度申請するのに1年間が無駄になる恐れがあるため。
④官報販売所で公告内容と掲載日の確認をする。公告に日付を入力
⑤掲載広告の内容の立札・見取り図・官報の掲載広告を掲示
⑥それぞれの墳墓の写真を撮る。写真の枚数は市町村の担当により違うことがあるので確認を
⑦1年後に添付書類と共に「改葬申請書」を提出
以上のような流れです。各自治体により必要書類等が多少違いますので窓口でご確認下さい。
*1墳墓・・・「コトバンク」墳丘すなわち盛り土のある墓のこと。と、ありますがここでは墓地にあるお墓や納骨堂をいいます。ただし、ややこしいのは埋葬された遺体や埋蔵された焼骨の法律だということです。墓石や納骨壇とは違います。
*2官報・・・公的な新聞で大きさはタブロイド判(新聞紙の約半分の大きさ)。法律・政令等の交付や決算公告等が掲載されています。発行は独立行政法人 国立印刷局です。官報は官報販売所で販売されていますし、インターネット版官報も見ることができます。